2024.11.12

土木で使われる鉄筋のかぶりとは?かぶりを確保していない場合のリスクや3つの対処法を解説

「土木で使われる鉄筋のかぶりって何?」
「かぶりが確保できていなかったらどうなるんだろう…」
こういった疑問やお悩みに答える記事です。

この記事でわかること

  • かぶりの基準値
  • 適正なかぶりを確保していない場合の6つのリスク
  • 適正なかぶりを確保する方法3選

当サイト「ADJUST株式会社」は、土木工事を請け負うプロ集団です。

結論、鉄筋のかぶりとは、コンクリート表面から鉄筋までの最短距離のことを指します。

鉄筋コンクリート構造物において、かぶりは構造物の耐久性や安全性を左右する重要な事項です。

しかし、その重要性を十分に理解しないまま施工すると、かぶりの基準値を逸脱し最悪の場合、手直しが発生する恐れがあります。

本記事では、鉄筋のかぶりについて網羅的に解説します。

鉄筋のかぶりについて理解を深めたいと考えている方は、本記事を最後まで読んでみてください。

土木で使われる鉄筋のかぶりとは

鉄筋のかぶりとは、コンクリート表面から鉄筋までの最短距離のことを指します。

かぶり厚とも呼ばれます。

かぶりには2種類あり、意味については以下のとおりです。

  • 純かぶり:コンクリート表面から鉄筋表面までの最短距離。一般的に使われる
  • 芯かぶり:コンクリート表面から鉄筋の中心までの距離。主に土木工事で使用される

鉄筋のかぶりを適正に確保しないと、耐久性や構造性能が低下する恐れがあります。

最悪の場合、やり直しによる工期の遅延やコストが発生してしまう原因にもなりかねません。

このような事態を防ぐためにも、正しくかぶりを理解し確保する必要があります。

かぶりの基準値

建築基準法施行令第79条(令和6年11月1日施行)では、最小のかぶり厚さが以下のように規定されています。

部材の種類最小かぶり厚さ
耐力壁以外の壁または床2cm以上
耐力壁、柱またははり3cm以上
直接土に接する壁、柱、床、はりまたは布基礎の立上り部分4cm以上
基礎(布基礎の立上り部分を除く)捨てコンクリートの部分を除いて6cm以上
かぶり厚さの規定

また日本建築学会は、より高品質で耐久性の高い建築物を実現するため、法定基準を上回るかぶり厚さの基準値を設定しています。

これらの厳格な基準の存在は、鉄筋のかぶり厚さが建築物の品質を左右する重要な要素であることがわかります。

適正なかぶりを確保していない場合の6つのリスク

「適正なかぶりを確保していないと、どういった弊害が考えられますか?」

結論、以下のリスクが考えられます。

  1. 鉄筋の効果が低下する
  2. コンクリートのひび割れが増進する
  3. 耐火性能が低下する
  4. 必要以上の材料費が発生する
  5. 重量増加による他部材への負担
  6. 法令違反の可能性がある

詳しく解説します。

1.鉄筋の効果が低下する

適正なかぶりから逸脱すると、鉄筋の効果が発揮できない恐れがあります。

かぶりが不足している場合は、外部環境からの影響で進行するコンクリートの中性化により鉄筋の防錆機能が失われ、腐食が著しく進行してしまうからです。

一方、過大なかぶりは、鉄筋の配置位置が構造計算で想定した位置から内側にずれるため、設計時に期待した構造性能が得られず建物の安全性に影響を及ぼす可能性が高まります。

適正なかぶりを確保しないと鉄筋の効果が低下し、構造物の耐用年数への影響が考えられるため、綿密な施工計画が必要です。

2.コンクリートのひび割れが増進する

かぶりが不適正だと鉄筋が腐食しやすくなり、コンクリートにひび割れが生じる恐れがあります。

鉄筋の腐食が深刻な状態まで進むと、コンクリートの表面が剥がれ落ちる剥離現象を引き起こしてしまうからです。

かぶりが過大な場合は、鉄筋位置が設計位置より内側となり、鉄筋本来の引張力が十分に発揮されず結果としてコンクリート表面に大きなひび割れが生じやすくなってしまいます。

このように、不適正なかぶりの影響は、ひび割れを加速させます。

3.耐火性能が低下する

一般的に、コンクリートは高い耐火性をもち、内部の鉄筋を火災から守ります。

しかし、かぶりが不足している部分は耐火性能が低下します。

鉄筋コンクリートの耐火性能が低下した際に起こりうる危険性は、以下のとおりです。

  • 表面コンクリートの剥離
  • 鉄筋とコンクリートの付着力低下
  • 鉄筋温度の急激な上昇による膨張と変形

設計図書に示された適切なかぶり厚さを確実に確保することで、火災時の建物の崩壊を防げるでしょう。

なお「ADJUST株式会社」では、一緒に働く仲間を募集しています。

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4.必要以上の材料費が発生する

過大なかぶり厚さは、本来必要のない余分なコンクリート量を使用するため、無駄な材料費を負担してしまうリスクが考えられます。

適切でないかぶり厚さの管理は、工事の収益を圧迫し企業の経営状態を危うくする重大なリスク要因にもなりかねません。

このような事態を防ぐためにも、適正なかぶりの管理が必要不可欠となってきます。

5.重量増加による他部材への負担

過大なかぶり厚さによって不要なコンクリート量が増加し、建物全体の自重を増大させることになります。

この自重の増加によって考えられる影響は、以下のとおりです。

  • 地盤への負担増加
  • 基礎への過度な荷重負担
  • 柱や梁などの構造部材への余分な応力発生

このような状況は、建築物の長期的な耐久性にも悪影響を及ぼす深刻な問題へと発展する恐れが考えられるでしょう。

6.法令違反の可能性がある

建築基準法施行令に規定される最小かぶり厚さを下回ると、法令に違反してしまいます。

基準値を下回った場合のリスクには、以下が考えられます。

  • 施工がやり直しになる
  • 企業の信用の失墜につながる
  • 是正命令や工事停止命令の対象になる

きわめて高いリスクであるため、法定の最小かぶり厚さの確保は、建設工事において遵守すべき重要な要件となります。

適正なかぶりを確保する方法3選

適正なかぶりを確保するための方法には、以下の3つが挙げられます。

  1. スペーサを適切に使用する
  2. 詳細な配筋図の作成や事前の確認を行う
  3. 非破壊検査の実施

詳しく解説します。

1.スペーサを適切に使用する

スペーサの適切な使用が、かぶり厚さを設計値通りに確保するための有効な手法です。

たとえば、以下の使用方法が望ましいといえます。

  • かぶり厚さごとに色分けされたスペーサを使用する
  • 適切な位置にスペーサを設置する
  • スペーサが外れないようにする
  • 箇所によってはくさび型のスペーサを使用する

こういった対策を講じることで、適正なかぶりを確保しやすくなります。

打設時にスペーサが足りないと感じた場合は、必要に応じて追加しましょう。

2.詳細な配筋図の作成や事前の確認を行う

かぶり厚の確保が困難な箇所は事前に把握しておき、詳細な配筋図を作成しましょう。

「詳細な配筋図の作成方法がわからない」

という方は、以下の3つを意識して作成しましょう。

  • スペーサーの配置位置と個数
  • 溶接金網の重ね代
  • 鉄筋の組立て順序

このように、具体的な情報を記載することで、現場との共有が容易になり施工のミスも防ぎやすくなるでしょう。

3.非破壊検査の実施

かぶり厚さの管理が難しい箇所については、コンクリート打設完了後に非破壊検査を実施すると効果的です。

重点的に確認する事項

  • 開口部周辺
  • 複雑な形状の部材
  • 温度変化の激しい場所
  • 構造上重要な部位(柱と梁の接合部など)

以上のような非破壊検査の実施により、設計で定められたかぶり厚さを適切に確保することが重要です。

ADJUST株式会社では土木の仕事を一手に担っています

ADJUST株式会社は、土木のプロ集団です。

そのため、コンクリートの打設といった作業も行っています。

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