「安全衛生責任者が現場にいないけど、これって法律違反になるのかな?」
こういった疑問や不安に応える記事です。
当サイト「ADJUST株式会社」は、土木工事を請け負うプロ集団です。
この記事でわかること
結論からいうと、安全衛生責任者を「現場に常駐させる」明確な法的義務はありません。
ただし、選任義務がある現場で責任者を選任していない場合や、不在時に代理人を立てない場合は法令違反となり、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
「自分の現場のやり方は大丈夫かな…」と不安に感じている方も、正しい知識を持って対応すれば過度に心配する必要はありません。
本記事では、安全衛生責任者の選任要件や常駐の考え方、不在時の正しい対応方法までわかりやすく解説します。
下請け業者として現場を任されている方は、最後まで読んでみてください。
目次
「安全衛生責任者が現場にいない=即違反」と思われがちですが、実際の法律の規定はもう少し複雑です。
ここでは、以下の3つを紹介します。
それでは、詳しく解説します。
下請け業者には、労働安全衛生法第16条によって安全衛生責任者を選任する義務があります。
対象になるのは、元請け業者が統括安全衛生責任者を選任している現場で仕事を行う場合です。
選任した後は、遅滞なく元請け業者へ通報する必要があります。
万が一選任を怠った場合、会社に対して50万円以下の罰金が科される可能性があるため、軽く考えてはいけません。
ただし、すべての下請け業者が必ず選任しなくてはならないわけではなく、現場の規模や工事内容によって判断されます。
意外に思われるかもしれませんが、労働安全衛生法には「安全衛生責任者を現場に常駐させなくてはならない」という明文規定はありません。
「下請けの安全衛生責任者は常駐すべき」とよく言われますが、法律の条文を読んでも常駐を直接命じる文言は見当たらないのが実情です。
ただし、現場の安全管理を実質的に機能させるためには、責任者またはこれに準ずる者が現場にいる状態が望ましいといえます。
そのため、元請けや発注者から「常駐させてほしい」と求められるケースが多くなっています。
厚生労働省の職場のあんぜんサイトによると、元請け業者は下請けの安全衛生責任者または準ずる者の駐在状況を把握する努力義務があります。
これは「元方事業者による建設現場安全管理指針」で示されている内容です。
つまり、下請け側は責任者の出退勤や不在予定を元請けへ正確に伝える必要があります。
連絡が不十分だと「責任者が現場にいない」と指摘される原因になるため、報告体制を整えておきましょう。
安全衛生責任者の配置義務は、すべての建設現場で発生するわけではありません。
労働安全衛生法施行令第7条で、規模や工事内容ごとに細かく定められています。
ここでは、以下の3つを紹介します。
それでは、詳しく解説します。
建設業や造船業の現場では、元方事業者と関係請負人の労働者の合計が常時50人以上になると安全衛生責任者の配置義務が発生します。
この基準は労働安全衛生法施行令第7条で定められています。
注意したいのは、自社の社員数だけで判断しないという点です。
元請けや他の下請け業者を含めた現場全体の労働者数で計算します。
たとえば、自社の作業員が5人しかいない場合でも、現場全体で50人を超えていれば選任が必要です。
該当する現場で働く下請け業者は、すべて自社の安全衛生責任者を選任しなくてはなりません。
工事内容によっては、より少ない人数で配置義務が発生するケースがあります。
たとえば、以下の工事では現場全体の労働者数が常時30人以上で選任が必要です。
| 工事の種類 | 配置義務が発生する人数 |
| ずい道(トンネル)建設 | 常時30人以上 |
| 一定の橋梁建設 | 常時30人以上 |
| 圧気工法による作業 | 常時30人以上 |
| 上記以外の建設工事・造船業 | 常時50人以上 |
危険性の高い工事ほど、少人数の現場でも配置義務が課されている形です。
自社が請け負う工事がどれに該当するのか、契約段階でしっかり確認しておきましょう。
現場全体の労働者が50人未満で、ずい道や橋梁工事にも該当しない場合は、法的な選任義務はありません。
また、特定事業(建設業・造船業)以外の業種についても、安全衛生責任者の選任は不要です。
ただし、義務がないからといって安全管理を放置してよいわけではありません。
厚生労働省の資料では、規模が小さい現場でも安全衛生責任者に準ずる者の選任が望ましいとされています。
労働災害のリスクは現場の規模に関係なく存在するため、社内で安全管理の担当者を決めておくと安心です。
安全衛生責任者には、特別な国家資格は必要ありません。
ただし、誰でも自由に選任できるわけではなく、一定の教育を受けた人物が選ばれるのが一般的です。
ここでは、以下の3つを紹介します。
それでは、詳しく解説します。
安全衛生責任者になるには、国家資格ではなく「安全衛生責任者教育」という講習の修了が求められます。
一般財団法人中小建設業特別教育協会などが実施しており、合計14時間のカリキュラムを2日間に分けて受講するのが一般的です。
受講料の目安は1万5,000円〜2万円程度で、終了後の試験はありません。
会場での対面受講のほか、Web講義で受けられるところも増えてきました。
「資格者がいなくて困っている」という会社は、まず社員に講習を受けさせるところから始めるとスムーズです。
建設業では、職長が安全衛生責任者を兼任するパターンが圧倒的に多くなっています。
理由は、両者の職務内容に重なる部分が多いためです。
平成12年の通達により、建設業では「職長・安全衛生責任者教育」として2つの教育を一体で実施することが推奨されています。
| 役割 | 主な仕事 |
| 職長 | 作業員の直接的な指揮監督、現場の進行管理 |
| 安全衛生責任者 | 統括安全衛生責任者との連絡調整、安全衛生管理 |
職長と安全衛生責任者は本来別の職務ですが、現場のリーダー的存在が両方の役割を担うのは合理的です。
兼任することで意思決定もスムーズになり、現場全体の安全性向上にもつながるでしょう。
2次下請け以下の業者であっても、自社で仕事を行う場合は安全衛生責任者を選任する義務があります。
労働安全衛生法第16条では、関係請負人(下請けの事業者)が選任すると規定されており、1次・2次・3次といった階層の区別はありません。
「1事業者(1社)に1人」が選任の基本ルールです。
たとえば、現場に1次下請けA社、2次下請けB社、3次下請けC社が入っている場合、それぞれの会社が自社の安全衛生責任者を選任します。
「2次下請けだから1次下請けの責任者に任せればいい」という考えは誤りなので注意しましょう。
安全衛生責任者がやむを得ず現場を離れる場面はあります。
そうした時に正しく対応できれば、法令違反のリスクを大きく減らせます。
ここでは、以下の4つを紹介します。
それでは、詳しく解説します。
安全衛生責任者が旅行・疾病・事故などのやむを得ない事由で職務を行えない場合、関係請負人は代理人を選任する義務があります。
これは厚生労働省の職場のあんぜんサイトでも明記されている内容です。
代理人になる人にも、安全衛生責任者と同等の知識が求められます。
そのため、社内で複数名に安全衛生責任者教育を受けさせておくのがおすすめです。
突発的な不在に備えて、あらかじめ代理人候補を決めておくと現場の運営が止まりません。
代理人を立てた場合は、すみやかに元請け業者へ報告しましょう。
報告が遅れると、元請けの統括安全衛生責任者との連絡調整が滞り、現場の安全管理に支障をきたします。
報告すべき内容は、おもに以下の通りです。
・代理人の氏名と所属
・代理を行う期間
・代理を立てる理由(疾病・出張など)
・代理人の連絡先
口頭だけでなく、書面やメールなど記録に残る形で伝えるのがポイントです。
元請けからの問い合わせにすみやかに答えられるよう、社内でも情報共有しておきましょう。
安全衛生責任者の選任義務に違反した場合、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金が科されます。
国土交通省北陸地方整備局の資料でも、罰則の内容が明示されています。
罰則の対象になるのは、おもに以下のケースです。
・選任義務がある現場で誰も選任していない
・不在時に代理人を立てていない
・選任した旨を元請けへ通報していない
罰金だけでなく、元請けからの信用低下や、今後の受注機会の喪失にもつながりかねません。
「うっかり忘れていた」では済まされないため、社内で選任体制をしっかり整えておきましょう。
法律上は常駐義務がなくても、元請けや発注者の規定で常駐が求められるケースは多々あります。
公共工事や大規模な民間工事ほど、契約書や仕様書に常駐の条件が盛り込まれていると考えてよいでしょう。
トラブルを避けるためには、契約段階で以下の点を確認しておくのがおすすめです。
| 確認項目 | 確認の目的 |
| 常駐の要否 | 元請けが常駐を求めているか |
| 不在時の対応 | 代理人の立て方や報告ルール |
| 兼任の可否 | 他の現場との兼任が認められるか |
「うちの現場は法的にはOKだから問題ない」と独断で判断するのは危険です。
元請けや発注者と認識をすり合わせたうえで、現場運営を進めていきましょう。
「安全衛生責任者を選任したいけど、誰に任せればいいかわからない」
「下請けとして現場を任されるが、安全管理体制をどう整えるべきか迷っている」
そのように悩んでいる方は、ぜひ一度ADJUST株式会社に相談してみませんか?
弊社では、現場経験を活かして安全管理のプロを目指したい方を全力でサポートしています。
安全衛生責任者として活躍できる人材を育てるためには、企業のサポート体制が欠かせません。
弊社なら、講習費用の補助や先輩からの実務指導まで、現場で必要な知識を体系的に学べる環境が整っています。
転職までは考えていないという方でも、まずは話を聞いてみるだけでもOKです。
\話を聞くだけでもOK!/
本記事が、あなたの今後のキャリアの参考になれば幸いです。
結論、現場全体の労働者が常時50人未満で、ずい道や橋梁工事に該当しない場合は選任義務がありません。
また、特定事業(建設業・造船業)以外の業種についても、安全衛生責任者の選任は不要です。
ただし、義務がないからといって安全管理を放置してよいわけではないので、社内で担当者を決めておくと安心でしょう。
詳しくは、安全衛生責任者の選任要件を解説した記事も参考にしてみてください。
結論、選任する事業者と立場が異なります。
統括安全衛生責任者は元請け業者が選任する現場全体のトップで、現場の安全衛生管理を統括する立場です。
一方、安全衛生責任者は下請け業者(関係請負人)が選任し、統括安全衛生責任者との連絡調整を担います。
両者は上下関係にあり、統括安全衛生責任者をトップに置いた安全衛生体制を構築するのが基本ルールです。
結論、2次下請け以下でも自社で仕事を行う場合は選任が必要です。
労働安全衛生法第16条では、関係請負人(下請けの事業者)が選任すると規定されており、1次・2次・3次といった階層の区別はありません。
「1事業者(1社)に1人」が選任の基本ルールなので、2次下請けだから1次下請けに任せればよいという考えは誤りです。
現場に入る各社が、自社で安全衛生責任者を選任しなくてはなりません。
指定請求書
弊社への請求書につきましては、Excel形式の請求用紙をご用意しております。
下記の指定請求書をダウンロードいただき、ご使用ください。